ビジネスの「ホットスタート」はウェビナーから生まれる IT批評家・尾原和啓氏のネット進化論

2020.11.09

ビジネスの「ホットスタート」はウェビナーから生まれる IT批評家・尾原和啓氏のネット進化論

斉尾俊和 

「ウェビナリスト」は、昨今増えてきたウェビナーのプラットフォームになるべく、2020年11月に産声を上げました。半年前、新型コロナウイルスの影響により、私たちの生活は一変しました。職場の同僚たちとのコミュニケーションはすべてオンライン上で完結し、外出を自粛する日々。半ば強制的にもたらされたこの変化により、ウェビナーはビジネスシーンの主要な発信チャネルになろうとしています。

私たちウェビナリストは、ウェビナーという新興の発信チャネルを使って、世の中をよりよくするためのお手伝いができればと考えています。しかし、新興であるがゆえ、私たちも日夜ウェビナーを勉強中です。

ですので、編集長の大命を拝した私、斉尾は、前職の「ログミーBiz」で長年お世話になっていたIT批評家・尾原和啓さんにお話を聞くことにしました。今年8月に新著『仮想空間シフト』を出されたきっかけ、ウェビナーの現在・未来について語っていただきます。対談の様子をまとめた動画も記事内にあるので、あわせてご覧ください!

人々が自由になると、国が変わる

斉尾:今日はよろしくお願いします! まず、新著の『仮想空間シフト』はどんな内容になっているのでしょうか?

尾原:僕が『仮想空間シフト』で書きたかったのは、コロナで突然変異を起こしたというよりは今まであったことが非常に加速することです。しかも10年単位、20年単位で起きていたことが加速するんですよね。

コロナ禍の今、仕事のあり方が変わったと思います。どんどんリモートで仕事するようになってますよね。こういったことが表面的に現れています。

仕事が変わると暮らしが変わる。リモートを前提に暮らすようになると、週に1回の勤務だったら、別に東京から2時間半ぐらい離れた場所に住んでもいいわけですよね。

暮らしが変わると、今度は社会が変わる。今まで僕たちは都心に住むことを前提にした暮らしをして社会ができあがっていた。遠く離れることが前提になると、都心に住まなくてよくなるんですよね。

社会と暮らしが変わると、人生の設計が変わる。2時間半くらい離れたところに住んでいい。副業はリモート前提でもいい。ますます人というものが変わってくるんですよね。リモートででも働きたいと思うようなところでないと、マネジメントが難しくなってきます。

人がどんどん自由になっていくと、最終的に国家や行政のあり方も変わってくる。今起こっていることは点の変化ではなく、線や面の変化です。中長期的にどういう変化が起こるのかを、一度きちんと全体像で提示したかったんですよ。

斉尾:仕事→暮らし→社会→人生→国家の順で変わっていくんですね。

ミレニアル世代と仮想空間シフト

尾原:この変化は「仮想空間シフト」と言えます。リモートや仮想空間の中で生きることができた人はものすごい勢いで生き方を変えて、進化ができるんですよね。

一方で、コロナの自粛から半年経ってリモート生活がいいと思って、それに慣れて生産性を非常に上げている人。「リモートは辛かった」「やっぱり人と会わなきゃダメだな」と思って、リアルに押し戻された生活をしている人。こうやって二極化しているわけですよね。

かつて、『モチベーション革命』の中で書いたのは、「ゆとり世代」とか「新人類」とか言われていたミレニアム世代が、実は心の有り様や心の根本であるOSが上の世代と変わってしまっているんです。

だから、上の世代から見ると「なんであいつは、しゃにむに働かないんだ」と見えるのは、単純に上の世代と下の世代の価値観が変わってしまったからなんです。ミレニアル世代に対する刺激の仕方がズレているだけと本に書くことで、ミレニアル世代の人たちが「自分の生き方でいいんだ」と思ってもらえるようにしたかったんです。「上の世代に理解されないから、もういいや」ではなく、自信を持ってミレニアム世代らしい進化をしていく。

Webina-List作成

一方で、上の世代の人たちがミレニアル世代以下の人たちの良さを活かしながらコラボレーションをしていくと書いたわけなんですけど、今回も一緒でこの仮想空間シフトがスムーズになる。こういうコラボレーションをやっているうちに、上の世代の人たちも仮想空間シフトに対応していけるんじゃないかなと思って、『仮想空間シフト』を書いたんですよね。

コロナ禍の「ない」ものが「ない」世代

斉尾:それぞれの世代にはどんな特徴があるんでしょうか?

Webina-List作成

尾原:僕の持論なんですが、価値観というものは環境が構築すると思うんですよね。昭和初期のベビーブーマー世代は、日本が戦後焼け野原になった後、「産めよ増やせよ」の高度成長期の中で生まれて、「ない」もの「ある」にしていくことにすごく充実感があった

実際、「ない」もの「ある」にすることを目指して、身を粉にして働いていれば家に帰らなくても、「パパは家庭の大黒柱だから」という価値観が家庭にはあった。夜遅く帰っても家族から「お帰りなさい」と言ってもらえる。

その証として、家に冷蔵庫やカラーテレビや車が来る時代だった。パパが頑張ることで、家庭の中に充実したものが見えるんですよね。家の外でも、例えば「あの家の旦那さんはトヨタで働いているから、他の人たちが車に乗れるんだね」というふうに、働くことで社会貢献が認められる側面もあった。こういった時代だったから、ベビーブーム世代はとにかく「ない」ものを「ある」にすることを掲げていく。

仕事に関してやっぱり達成が大事。物理的なゴールに対して、みんなで成果を分かち合う時代だったんです。

それに対して今ミレニアル世代の人たちは生まれたときに「ない」ものが「ない」んですよね。上の世代の方が頑張ってくれたおかげで、家庭の中は基本的に満たされている。半径10m以内にも「ない」ものが「ない」人のほうが多い世代なわけです。

そうすると、何かを埋めるために犠牲にして働くよりは「この仕事は意味があるものなのか」と自問する傾向があります。その価値を見出してベンチャーで働く若者もいます。自分が好きなものに対しては、お金なんて関係なくたってその意味合いを感じて、大事な友達と一緒に達成して誰かに貢献していく。こういったことにいくらでも時間を使える世代なんですね。

今、21〜30歳ぐらいの方はそういう世代なんですよね。ただ、日本では今はまだ課長以上の年齢が45歳より上です。そうすると、ベビーブーマー付近の方々が上司なので、リモートで「これを達成しろよ」と言っても通じないんですよね。画面の向こう側にいるメンバーは、仕事の意味合いが感じられないと、心のエンジンが動かない人たちなんですよ。

その仕事において、自分が部品として扱われるのではなく、大きな流れの中で「あなたの仕事にはこういう意味合いがある」と伝えなければいけない。

コロナまではフェーストゥフェースでなんとなく伝えられていた。今回のコロナによって、リモート環境で明確に伝えて、働く場を作っていかないと人間が動かない状況になりました。その人の価値観と今のテクノロジーに合わせた働き方になるんじゃないかと思います。

斉尾:僕もミレニアル世代に該当しているので「意味」のあるなしは意識してしまいますね。

すでに仮想空間シフトしたZ世代の強み

尾原:ミレニアル世代以下の話をします。2008年にiPhoneが日本で発売されて2020年で12年目なんですよね。人間が社会につながるのが「中二病」の時期の14歳ぐらいで、その時にiPhoneを持った人たちが今は26歳ぐらいになります。現実的には2010年くらいからスマホが普及し始めたので、物心ついたときにTwitterとスマホが標準装備なのは、現在24歳以下の人たちに多いかもしれないです。

この年齢層の代表がゆうこすさんですけど、この「Z世代」はリアルの友達よりもネットのソーシャル上の友達のほうが接している頻度も時間も多いわけですよ。友達とのやり取りはとおの昔に仮想空間シフトしていて、働く空間だけが上の世代のリアル重視の働き方に合わせていて、仮想空間シフトしていなかったんですね。

だから、自分たちのなじみの空間が向こう側から寄ってきた感じなんですよね。ある種、ずっとネイティブだった空間が世の中のメジャーになるきっかけになりそうです。

リモートの中で新しい仲間を得ること、信頼を培っていくこと、お互いの「好き」を見つけ合って深めていくこと。Z世代は中学生の頃から仮想空間で過ごしていく時間が多いので慣れているわけですよ。

だから、自分たちの「好き」の延長線上に仕事があって、その仕事を通して誰かに貢献できる場を提供してあげれば、本当に水を得た魚のように泳ぎ回ることができるわけですよ。

α世代には「オーガニックリーダーシップ」が備わっている

尾原:今は7歳くらい子たちがテレビより先にiPadを触りますよね。いわゆるα世代の子たちです。笑い話でよくあるのが、テレビに向かってピンチアウトして「なんでこれは拡大できないの?」「この動画はスキップできないの?」って(笑)。

斉尾:いつもiPadに触れていたら、たしかにそうなりますね(笑)。

尾原:α世代より上の世代は、3歳の頃では親ではない他人と初めて出会うのが近所の公園の砂場だった。α世代は他人を知る機会すら、ゲーム『マインクラフト』のオンライン上なんですよね。この子たちが大きくなると、次は『スプラトゥーン』で4対4の対戦になって、もうちょっと大きくなると『フォートナイト』でバトルロワイヤル形式を経験します。

Z世代以下の研究では、「オーガニックリーダーシップ」、つまり天然のリーダーシップがこの世代には備わっているとあるんですね。

スプラトゥーンは4対4で勝敗を決します。一緒に戦う4人で、自分以外の3人は見たことも会ったこともない人です。即興チームが戦場に突然放り出されるわけですね。そうすると対戦相手の力量を見て、自分の仲間の力量を見る。ある試合では、自分はこのチームで一番うまいと判断する。絶対勝つために自分がリスクを一番とって、対戦チームの強いプレイヤーを倒しに行く。

一方、他のチームになると、他のプレイヤーが圧倒的に強いので、むしろ自分がフォロワーになって、みんなが行かない領域で地道に点数を稼ぐ。ゲームの中で瞬間瞬間で判断して戦うわけです。スプラトゥーンはプレイが1回で5分間くらいなんですよね。そうすると1時間に12回プレイできますよね。リーダーとフォロワーがころころ変わって、何回も何回もチームプレイを鍛えられるわけですよ。

リアルでしか他人と知り合う空間がないと、周りとの関係性や役割はほぼほぼ決定されて、リーダーシップを発揮する場が小学生の高学年くらいまでない子もいるわけですよね。この違いは大きいですよね。

スプラトゥーンの空間であれば、体がどんなに小さかろうが、肌の色がどうかは全く関係ない。リーダーシップが発揮できるときが必ず出てくるんですよ。

大事なのは任天堂のゲーム設計です。人にすごく優しいゲームを作るんですよね。誰もが徐々に上手くなるように設計してある。

最初は周りがうまいチームの中で、フォロワーとしてのサポート役から始まります。フォロワーに慣れて、だんだん頑張らなくなってくると、ビギナーだらけのチームに放り込まれるんですよね。対戦チームのレベルも図抜けて高くならない設計なので、必然的にリーダーシップをとる場所で勝てるようになります。自分がリーダーシップを取る中で勝てたという成功体験を3、4歳の頃から詰める時代になってきているんですよ。


『リーダーシップ論』(ジョンP.コッター著)の中で「リーダーとは決断の数でしか成長しない」という言葉があります。『仮想空間シフト』で書いた、仮想空間ネイティブでリーダーシップをとって決断をして、5分間単位でシャッフルされながら育ってきた世代。大学を卒業して、社会人になって初めてメールアドレスをもらった46歳以上の世代。リーダーシップを経験している数が、残念ながら両者の間では違いますよね。

デジタル・ディバイドから価値観ディバイドへ

斉尾:本の中でもデジタルディバイドから価値観ディバイドに移り変わると話しています。

尾原:知り合いの近況みたいな情報がインターネット上にはすぐアップデートされますよね。だけど、インターネットにつながっていない人には届きません。ここで情報の断層が生まれますよね。『仮想空間シフト』では、デバイスに触れないから情報に触れないことを「デジタル・ディバイド」と呼びました。でも、デジタルが中途半端だったから生まれた概念なんですよね。

今やスマホを買ってきてボタンを押せば、すぐに起ち上がる。インターネット上では、QRコードを読み込めばさまざまなサービスに繋がりますし、LINEは電話番号を連絡帳に入れておけば友だちと繋がることができます。ZOOMが急成長したのは、リンクを1個送るだけで相手と会議できるからじゃないですか。初期設定がほとんどいらないですよね。

もはや「デバイスを使えるか」のディバイドはなくなっている。では、なぜ情報の断層が生まれるか。「デバイスを使おうと思うか」という価値観を持っているかが重要なんですよ。

例えば、官公庁のハンコ文化をなくすニュースがありましたよね。実際、官庁にハンコなしで業務ができるかを確認したら「いけます」という回答が返ってきたわけですよね。これまでは「いや、ハンコのほうがいいんです」という価値観を持っていたから、デジタルのハンコを試す価値観に動けなかったわけですよね。この出来事はまさにデジタル・ディバイドではなくて価値観ディバイドの象徴です。

ウェビナーの未来予想図

斉尾:尾原さんはここ半年くらい、YouTubeチャンネルに力を入れている印象ですが、その背景をおしえてください。

尾原:『仮想空間シフト』では、仕事がオーケストラ型からジャズ型に変わっていくと書きました。

今までは相手のところに行くことが礼儀だという価値観がありましたよね。打ち合わせは30分かけて先方の会社まで行っていた。相手が5人ぐらい参加すると、こちらが1人だと申し訳ないので、本当は参加する必要もない部長も同席して、リアルの場で打ち合わせしていたわけですよね。

これがコロナでリモートになったらどうなったか。例えば、顔なじみの知人から「尾原さん、こういうことを始めるので相談してもいいですか」とメッセージが来たとします。僕もその人には今までお世話になっているので、「すごく協力するよ」と返して、すぐ打ち合わせができる。1時間じゃなくても15分くらいの空き時間で問題解決できる。

決まりごとを重視して、丁寧に順番を重ねてハイクオリティーなものを作っていくのがオーケストラ型です。ここから、何かやるときはやれる人間が集まって、そこでいいものを作る。どんどん「あいつも呼ぼう」「こいつも呼ぼう」っていうジャズ型に変わってくるんですよね。

ジャズ型に適応していくためには、ストック型とフロー型の使い分けができる人間が強くなるんですよね。仕事って、同じことを何回も相手に説明する時が結構あるじゃないですか。相手が何回もしゃべることを知った上で、相手と新しいものを作っていくこと。ストック型は、相手が何回も伝えていることなのかもしれません。

ウェビナーはビジネスの「ホットスタート」を促す

尾原:今まで、YouTubeは100万回再生を狙える高リーチ型のメディアでした。もともと、YouTubeのYouは「あなた」です。自分が関心があるものと、本当に関心がある人とが繋がればいいという場所だったんですよね。

今のYouTubeでは仕事においても関心がある人と繋がれるようになりました。お仕事の相談をいただくと、僕のYouTubeチャンネルから動画をおすすめして「この動画はあなたが興味を持つと思うので、動画をまず見てからお話ししましょう」とか提案できますよね。「キャッシュレス経済の未来を知りたいなら、この動画の30〜45分を見てください」と。「どう思ったかというところから、お話を始めませんか」みたいにホットスタートができるんですね。

僕のYouTubeチャンネルの動画は、どれもこれも1万再生ぐらいです。もっと行かないなら3000再生ぐらいです。そうなんだけど、本当に内容が濃いものなんですよ。わざと濃いものを上げていて、この濃いものに反応できる人はJAZZ型のセッションができます。私も一緒に楽器を鳴らせるんですよね。

僕の動画をもとにTwitterでコメントを書いてくださったり、ブログで感想を書いてくださって、感想が濃かったら、僕から声をかけるわけですよ。「ありがとうございます。面白い感想ですね」「こういうことはどう思いますか?」みたいな話をしてジャズを始めるんです。

ウェビナーはジャズ型セッションの要となる

尾原:今やYouTubeは広く浅く届けるメディアというよりは、誰かとホットスタートにするためのものです。自分の決まりごとの部分は動画で相手に見てもらう。濃い内容の動画をばらまいておくことで、いい反応をしてくれた人とコール&レスポンスを始めて、新しいジャズを始めるツールになってきているんですよね。

斉尾:対話相手の長めの自己紹介がオンライン上ですでに済んでいる状態ということでしょうか。

尾原:そうですね。今日のインタビューにしても、『仮想空間シフト』を読んで知っている人たちは動画をスキップすればいいわけですからね。リアルだとスキップできないじゃないですか。僕が早口で何を喋っているかわからなかったことも、もう一回バックできないですよね。

YouTubeという空間の中だと、受け手のリテラシーに合わせられます。わかっているところはスキップして、わからないところは何回も見る。最後まで見終わったら、理解がお互い同じ状態になる。そこで初めてインタラクティブでしかできないことができます。そこでZoomミーティングをやればいいですよね。

斉尾:なるほど、僕はYouTubeチャンネルの動画が尾原さん流のウェビナーだと理解しているんですが、他の人のウェビナーとか見たりするんですか?

尾原:画面を3つ置いて、どこかの国のウェビナーをずっと流している感じですね。時間があれば録画できたり、字幕があるものは5倍速で見たりしてます。字幕がないものは8〜15倍速ぐらい。この方法だと情報を高速で摂取できるんですよね。何より、ウェビナーは結局「きっかけ」なわけです。その人の長い自己紹介なのでハズレがなくなりますよね。

お会いしたときにウェビナーで相手の説明を受けているので、長い資料をもとに相手にプレゼンをやっていただく労をとらさないで済みますよね。ホットスタートできるので、ウェビナーを非常に有効活用してますよね。僕、コロナになってからのお友達が増えているんですよ。ウェビナーのおかげでお互いの背景やトリガーがすぐ理解できるんです。

斉尾:そうなんですね。ホットスタートする機会が増えることでお互いのバックボーンみたいなものをもうすでに近い状態でお話ができる。

「コンポーネント化と多層化」する未来

斉尾:一番聞いてみたかったことなんですが、ウェビナーを取り巻く環境って、今後どうなっていくんでしょうか?

尾原:ウェビナーはコンポーネント化・多層化していくと思います。これまでお話ししてきたことって、僕の周りの現象だけだと思ってしまうかもしれないじゃないですか。

YouTubeの構造を見ていると、すごくわかりやすい。今はYouTubeに解説動画が溢れてますよね。ウェビナーや本を見るには抵抗がある方が、簡単な解説動画を見て「なるほど、こういうことを言いたい本・ウェビナーだったら見てみよう」と思いますよね。

今は『TENET』がすごく話題ですよね。解説動画が非常に上がってますけど、難しい内容の映画でも、複数の人の解説を聞いていると自分もわかるようになるんですよね。

ウェビナーそのものが、ある程度のインパクトがある内容だと、そのウェビナーを解説してくれる人が勝手に現れるわけです。

例えば、どなたかが「5分でわかる仮想空間シフト」という動画を上げていたんですが、独自の解釈でわかりやすく説明してくれていたんですよ。「俺もこう説明すればよかったな」とか「新しいものを足してくれているな」みたいに思ったんですね。

なので、他の人のウェビナーを引用元にしてしまえば、その人のレベルに合わせたウェビナーが生まれる。他の人が引用して、どんどん解説してくれる動画が生まれてくるわけですよ。こうやってコンポーネント化・多層化していくんですよね。

斉尾:お互いに批評・解説することで、ウェビナーが自然発生的に増えていくんですね。

学びの鍵は検索ワードの「上流」にあり

斉尾:ウェビナーがこれから盛り上がっていくにしたがって、ユーザーの方たちが心がけるべきことはなんでしょうか?

尾原:「自分の検索ワード」を持って、それを進化させていくことだと思うんです。

僕も『仮想空間シフト』を書くためにZ世代を研究しているうちに、「オーガニックリーダーシップ」という言葉に出会いました。検索の言葉をアップデートしていくと必ずウェビナーやブログに出会えるわけですよね。

必ずそのウェビナーやブログで引用している文献や発言があるわけですよ。そうすると引用している人を追っかけていくわけです。引用している人もみんなが結構引用している人がいます。ここで引用がだいたい英語に変わるんですけどね。

その人が引用している論文を読んで、その論文の著者を追っかける形で自分の検索ワードを見てみる。10個ぐらい見てみると、その中でよく引用されている人がわかる。その人をフォローすると、その人の最新情報が得られるんですよね。検索ワードを決めて、上流に行って、上流の人をフォローすると最新の情報がわかる。この考え方が大事です。

斉尾:検索ワードを辿っていくことによって、自分の源泉となるものが得られるということでしょうか。

尾原:みんなInstagramとかで自然にやっていると思うんですよね。自分や好きなハッシュタグをクリックして、その中から新しいハッシュタグから、自分に一番フィットしたハッシュタグがあったら、そこの中でフォロワーの多い人や自分と感覚が合う人をフォローしたりするわけじゃないですか。その感覚が仕事でもできるんですね。

あと5年もすれば、ウェビナーの内容のログが簡単に作れるようになってきます。ウェビナーの中身をピンポイントで検索できるようになって、自分の探したキーワードに合った前後10分間だけを見ることも簡単にできるようになってるんですよね。

斉尾:僕たちウェビナリストもその未来に貢献したいなと思っています。今日はありがとうございました!