2020.11.08

元受付嬢がなぜ起業を志したのか? クラウド受付サービス「RECEPTIONIST」誕生秘話

金指 歩

最近オフィスの入口で、受付電話の代わりに置かれたタブレットを見かけませんか? 画面をタッチするだけで、簡単に訪問先の担当者を呼び出せるので、便利だなと思っていました。

そんなクラウド受付サービスを開発・提供し、実績を伸ばし続けているのが、株式会社RECEPTIONIST(レセプショニスト)です。レセプショニストの社長はもともと受付嬢で、その経験とアイデアを元に、かゆいところにも手が届くきめ細やかなサービスを展開。リリースから約3年で、利用企業数が3,300社を突破しました(2020年9月時点)。

受付嬢から起業した理由や、このコロナ禍でサービスがヒットしている秘密……知りたくありませんか? そこで今回ウェビナリストでは、レポーターの金指(かなさし)が、代表取締役CEO 橋本真里子さんにインタビューを実施しました。クラウド受付サービスが気になっている方や、起業を考えている方、必見ですよ!

起業のきっかけは、10年間変わらない受付業務への違和感

金指:橋本さんは長く受付嬢をされていたと伺いました。なぜ受付嬢になろうと思ったんでしょうか。

橋本:大学卒業後にどんなキャリアを積もうかと考えたときに、ビジネスマナーや接遇のスキルはどんな職種にも活かせると思ったんですね。それを身に付けられる受付の仕事に魅力を感じて、受付嬢として就職しました。

金指:実際に受付嬢になってみて、当初の予想と違ったことはありましたか? 

橋本:受付嬢になって驚いたのは、その業務範囲がとても広いことですね。来客を受け付けて会議室へご案内し、お茶出しをするだけかと思いませんか? 実はそのお茶を事前に準備したり、会議室の状況を把握して、入れ替わり時に急いで清掃したりするなど、裏方の仕事もすべて受付嬢の仕事です。

そんな大変だけど魅力的な受付の仕事にやりがいを感じて、気づけば10年ほど続けていて。元々長く続ける方が少ない仕事なので、32歳前後で次のキャリアを考えるようになりました。多くの人に支えられた築いた受付のキャリアを、より多くの方の役に立てるような形で還元していきたいなと、漫然と思っていましたね。

金指:そして次のキャリアとして起業を選ばれたと。そのきっかけや理由を教えていただけますか? 

橋本:受付の業務がずっと変わらないことに、違和感を覚えたのがきっかけです。ビジネス環境はどんどん進化しているのに、受付だけ変化しないのはおかしいんじゃないかなと。

私は受付だけやってきましたが、視点を変えればこれはキャリアの強みになる。そして、ITを活用して効率的な受付システムを実現したい、それを作るなら現場を熟知した人間が関わった方がいいと考えたときに、「自分がやるしかないな」と思って。周囲からも背中を押していただき、起業することにしました。

金指:起業してからは怒濤の日々だったと思います。これはもう経験したくない! という思い出はありますか? 

橋本:レセプショニストをリリースした2017年は、可能な限りピッチ大会に出場しました。その中のひとつが、英語でプレゼンする世界大会だったんです。ピッチはただでさえ大変なのに、英語……。

まず日本語で原稿を作って翻訳してもらい、平行してピッチ資料を社内で作成して。歴代の動画を見るとみなさん暗記されていたので、私も暗記して。本当に大変でした。もう二度と出たくないです(笑)。

受付業務の効率化によってビジネスシーンを快適に

金指:提供中のクラウド受付サービス「RECEPTIONIST(レセプショニスト)」。これはどんなサービスですか? 

橋本:レセプショニストは、受付に置いたタブレットを来客が操作すると、チャットツールやアプリから担当者に通知が送られ、スムーズに取次ができるサービスです。無人受付はもちろん、有人受付にも導入できます。併せて、来客の日程調整を効率化するサービスや、会議室運営を管理する機能も提供しています。

タブレットの画面はフレキシブルに変更できるので、待ち受け画面で季節感を演出したり、お客様ごとに特別なメッセージを設定したりすることも可能ですよ。

金指:サービスリリースから3年半が経ち、立ち上げ当初から外部環境は変化しましたか?

橋本:リリース1年目は、「受付=内線」というイメージが強すぎて、営業先になかなか理解していただけませんでした。でも現在は多くの企業に「受付=システム」という選択肢ができた感覚があります。お客様や友人から、「訪問先にレセプショニストがあったよ!」と教えてもらう機会もぐっと増えましたね。

金指:レセプショニストを導入すると、どんなメリットがあるんでしょうか? 

橋本:主なメリットは2つあります。まず、取次のコストが大幅に削減できること。内線通話を使わずに、チャットツールやアプリに直接通知が届くので、受付や総務担当者が取り次ぐコストがなくなります

次に、仕事に集中しやすい環境を実現できること。オフィスエリアで内線電話が鳴らなくなるので、手を止めて内線に出る必要もなくなりますし、より仕事に集中できます

システムを導入する際、社内の人がきちんとシステムを使えるか不安に思う方もいますが、実際にはスムーズに導入できたという声を多く聞きます。また副次的な効果として、取次の大変さが社内に理解されることで、「今までこんな大変な仕事をやってくれてありがとう」と、感謝を言われるケースも多いそうです。受付に関わる方の苦労が感謝に変わるのは嬉しいですね。

コロナ禍で高まったレセプショニストへのニーズ

金指:コロナ禍で社会が一気に変わりました。レセプショニストのニーズは高まりましたか? 

橋本:以前から「働き方改革」が意識されていたので、フリーアドレス化などスタッフが仕事に集中できる環境を整備する企業は増えていました。その中で受付のシステム化も検討されていたと思います。そこに新型コロナウイルスが流行して、ニーズがさらに高まっていますね。

金指:コロナ禍において、レセプショニストを導入する価値を教えてください。

橋本:お客様とスタッフの両方を守ることができることが、レセプショニストの大きな価値だと思います。内線電話ではどうしても接触が起きてしまうし、受付履歴が残りません。でもレセプショニストなら、不要な接触は避けつつ、誰がいつ来たのかというデータも自動で残せます

もしお客様やスタッフが新型コロナウイルスに感染した場合でも、データを遡れば来訪時期や接触者が把握できます。会社として適切な対応を取ることで、企業イメージも守られるのではないでしょうか。

金指:今後、レセプショニストではどのようなサービスを提供していく予定ですか? 

橋本:レセプショニストは、システム開発会社という印象を持たれることが多いんですが、私たちとしては「ビジネス上のコミュニケーションを効率化するサービスを提供する会社」と自社を位置付けています。

受付に限らず、ビジネス上には非効率な文化が多く残っていて、その多くがコミュニケーションと関わっていると考えています。今後も引き続き、オフィスワーク・リモートワーク問わず使ってもらえて、ビジネスパーソンがより働きやすくなり、より生産性が上げられるサービスを提供していく予定です。

金指:最後に、ウェビナリストの読者や起業を考えている人に向けて、メッセージをお願いします。

橋本:私が起業するときに考えていたのは、どんなに有名な経営者でも、「経営者1年生」を経て、努力や運やご縁があって今があるということ。だったら、自分にも挑戦する資格はあるなと思いました。

もし事業に失敗しても命を取られるわけではないし、一生懸命に取り組めば、その先に見える道が必ずあるだろうなと思って、この世界に飛び込みましたね。もし自分でやってみたいことがあるなら、積極的に前を向いて進んでいただきたいなと思います。

■編集後記

今回、2020年3月に移転したばかりの綺麗なオフィスに伺いました。橋本社長は美人!顔が小さい!なのにフランクなお人柄で、金指は一発でファンに。ちなみに取材前後にずっと飲んでいたのは「某コンビニエンスストアのアイスミルクティー(メガサイズ)」で、語れるほど大好きなんだそうです。

そんな橋本社長率いるレセプショニストは、最近立て続けに新機能をリリースしています。クラウド受付システムが受付のスタンダードになる日も近い? 今後の活躍に注目です!